連載コラム

薬学部ホームページを制作するにあたって、薬学に関係する皆さまに向けた連載コラムをお届けすることにいたしました。今後、本学教員が定期的に連載をしてまいります。

薬学部が6年制教育になった背景

薬学部教授
水野恵司

薬学部が4年制から6年制教育になりました。なぜ6年制になったのでしょうか? 薬剤師の仕事は「患者に適切な薬物治療を施す」ことにあります。それを実践するには、処方箋に書かれた薬品名と投与量だけでは情報が足りないのです。尿を作る能力が普通か?乏しいのか?これは尿から排泄される医薬品の使い方に大きく影響します。喘息患者や妊婦に使ってはいけない薬、納豆を食べてはいけない薬、フルーツジュースや牛乳を飲んではいけない薬など、一つ一つの医薬品には知っておくべき知識が沢山あります。患者さんや介護するご家族が安全に薬を使うために、使い方や副作用の早期発見方法の説明も重要です。このように薬剤師の仕事には、患者さんの症状、臨床検査値、体質、体格、理解能力、家庭環境など多くの情報が必要なのです。患者さんを理解して薬物治療を展開するための具体的な教育、すなわち医療薬学が重要となったのです。まず4年制時代の中心であった医薬品の物理・化学的性質、薬理作用などの基礎薬学を学び、さらに医療薬学で「患者に使うスキル」を学びます。基礎薬学と医療薬学の融合が「患者に適切な薬物治療を施す」プロ薬剤師を養成するのです。それこそが薬学部が6年制教育になった理由です。

20世紀には「薬剤師は処方箋に従って調剤するのが仕事でしょう。患者情報がなぜ必要なの?」と、医師、看護師、残念なことに同僚の薬剤師も考えていました。患者さんのことを知って医師は処方しているのだから、薬剤師は処方箋上に疑いが無ければ調剤だけしていればよい・・・そんな時代でした。しかし医薬品は次々に新しい情報が世界中から報告されています。新しい情報を患者さんに適用し、安全で適切な薬物治療を展開しなければなりません。一方医師は急速に進歩している診断方法や手術方法を取得していかなければなりません。薬物治療については、医師と協力し、薬剤師も相応の責任を負う必要が生じたのです。

こうした状況から、病院の薬剤師は、病棟で医師や看護師と協力し合って患者さんの治療にあたっています。一方、街の調剤薬局の薬剤師は、処方箋調剤や大衆薬の販売のほか、「在宅医療」で医師、看護師、介護士などと協力して治療に参加しています。超高齢者社会になりつつある現在、自宅で治療を続ける「在宅医療」は益々必要となるでしょう。

薬学部6年制教育で学んだ薬剤師は、日本の医療制度に貢献し、重要な役割を担っていくことでしょう。

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