1989年~2019年までの30年間、病院薬剤師(5年)、そして薬局薬剤師(25年)として、長く臨床の場で薬剤師として業務を行ってきました。
当初、白衣を着て仕事をする薬剤師という職業は自分には不向きだという思いが強かったのですが、患者さんとの関わりを通して、薬剤師とは人を相手にしている仕事だということを認識し、薬剤師という仕事を好きになっていきました。患者さんからたくさんのことを学び、関わった多くの方に薬剤師として育ててもらったように思います。それと同時に、患者さんという人間や、患者さんをとりまく医療システムや社会に対する関心から、薬学という学問領域を少し離れて考えてみたいと思い、薬剤師として働きながら人文系の勉強をはじめ、医療人類学という学問に出会いました。医療人類学では、患者さんの文化と医療者の文化の違いを前提にし、その違いに驚き、異なる文化をもつ相手との対話を通して、互いの違いを理解し、共感することに重きを置きます。
これまでの経験と学んだ理論を融合させ、医療の現場で生き生きと活躍する薬剤師を育てる教育に少しでも貢献できればと思っています。どうぞよろしくお願いします。