連載コラム

薬学部ホームページを制作するにあたって、薬学に関係する皆さまに向けた連載コラムをお届けすることにいたしました。今後、本学教員が定期的に連載をしてまいります。

研究の原点

西村哲治

薬学部教授
西村 哲治

小学生の頃、植物学者の牧野富太郎博士に感銘を受け、根・茎・葉・花・果実を全てそろえた乾燥標本をつくることを目標に植物採集をしていました。植物によっては、花から果実ができるまでを追う、1年計画になります。当時、住まいは武蔵小杉の駅前にありましたが、家の周りには野草がたくさん生えていましたし、小学校への1時間の通学の道辺やその途中の野球グラウンドでは、四季に応じた多くの野生の草花を見かけることができました。日曜日には、ドウランや自作の野冊を肩にかけ、竹で作った根堀を片手に、自転車であちらこちらに勇んで少し遠方まで採集に出かけたものでした。

植物標本を作るうちに、病気の治療に用いられる植物が身近にあることを知り、野生の植物採集と合わせて、本を調べながら次はどの植物を目的に採集しようと計画を立てました。例えば、身近でみられるタンポポ、ミカンの皮、アロエ、ザクロ、シャクヤクなどにも健康に効果があることを知って、わくわくした記憶を思い出します。ミカンは、実の皮はすぐに手に入りましたが、ミカンの花、実、根は、植物標本にするにはどうすればよいか大変困りました。また、タンポポの根、アロエの葉、ザクロの実は、厚かったり、乾燥すると紙についてしまったりと、どのようにして標本にすればよいのか困ったことを思い出します。シャクヤクは、庭にきれいに咲いた花を祖父にもらおうかどうしようか、押し花の標本にできるかどうかなど、野生植物とは異なった課題が次々に出てきました。その頃の自分にとっては、重要な問題で、まさに寝ても覚めても、一人で悩み、調べたり考えたり悩んでいた記憶があります。

薬学部に籍を置き、当時よりも科学的な知識も増えたと思っていますが、あの時の課題は、多くはよい結論がえられないままいつの日か忘れてしまいました。しかしながら、あの時の感動や探求心は、忘れずに持ち続けていきたいと思っています。

 

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