ユニット紹介

細胞機能教育研究部門
分子細胞制御ユニット

ユニットの目標

私たちの体は1つの受精卵から増殖・分化を繰り返して生じた約37兆個の細胞から成り、様々な刺激に対して適切に応答することで維持されています。これらの過程において細胞内のタンパク質や細胞内構造(細胞小器官、細胞骨格等)は、適切に修飾、分解され、または形成、再構築されるよう厳密に制御されています。この制御がひとたび破綻すると個体発生の異常やがん、神経変性疾患などの重篤な疾患を引き起こします。私達はヒトの細胞や酵母を用いた解析を通じて、細胞内構造の分解・再構築機構やタンパク質分解調節機構の解明に取り組み、上記疾病の発症過程の解明と治療への応用を目指しています。

研究テーマ

1)一次繊毛の形成機構の研究

一次繊毛は体のほとんどの細胞にあり、外界の刺激を受け取るアンテナとして働き、細胞の増殖や分化を調節しています。一次繊毛が正しく形成されないと「繊毛症」と呼ばれる様々な種類の重篤な疾患を引き起こします。一次繊毛は静止期(G0期)に中心体を元に形成され、増殖刺激が入ると消失します。私達は、ノックアウトすることにより一次繊毛ができなくなる遺伝子を発見し、一次繊毛形成のどこに必要であるかを調べています。

研究テーマイメージ

2)アグリソーム形成機構の研究

細胞内で生じる異常なタンパク質は、ユビキチン・プロテアソーム系と呼ばれる細胞内分解機構によって適切に分解されることで、タンパク質の品質管理が正しく行われています。老化やストレスによってタンパク質の品質管理機構が破綻すると、細胞内には異常タンパク質が蓄積し、それらが集合したアグリソームと呼ばれる凝集体が中心体上に形成されることがわかっています。このような凝集体は、ハンチントン病やパーキンソン病など、様々な神経変性疾患に見られる特徴であるにも関わらず、その形成過程は未だ明らかになっていません。どのような分子機構で凝集体が形成されるのか?なぜ凝集体が中心体上に形成されるのか?これらの点を、凝集体形成に関わる中心体タンパク質の機能解析を通じて明らかにすることを目指しています。

3)ユビキチン・プロテアソームシステムの研究

研究テーマイメージ

ユビキチン・プロテアソームシステムは真核細胞において高度に保存された細胞内タンパク質分解のための仕組みです。ユビキチンが付加されたタンパク質をプロテアソームが認識して分解することにより選択的なタンパク質分解を可能にしています。ユビキチン・プロテアソームシステムは真核細胞にとって必須の仕組みであり、その異常は細胞分裂、シグナル伝達、DNA損傷修復、免疫応答など様々な細胞機能に影響を及ぼすことがわかっています。出芽酵母を用いた遺伝学やプロテアソーム活性阻害剤の探索などから、ユビキチン・プロテアソームシステムのまだ知られていない細胞機能への関与を明らかにしたいと思っています。

発表論文

  • Hara, Y., Ando, F., Oikawa, D., Ichimura, K., et al. “LRBA is essential for urinary concentration and body water homeostasis” Proc Natl Acad Sci USA. 119(30): e2202125119, 2022
  • Watanabe, A., Yashiroda, H., Ishihara, S., Megan, L., Murata, S. “The molecular mechanisms governing the assembly of the immuno- and thymoproteasomes in the presence of constitutive proteasomes.” Cells 11(9):1580, 2022
  • Tsutsui, K., Kim, HS., Yoshikata, C., Kimura, K., Kubota, Y., Shibata, Y., Tian, C., Liu, J., Nishiwaki, K. “Repulsive guidance molecule acts in axon branching in Caenorhabditis elegans.” Sci Rep. 16, 22370, 2021
  • Takehara, Y., Yashiroda, H., Matsuo, Y., Zhao, X., Kamigaki, A., Matsuzaki, T., Kosako, H., Inada, T., Murata, S. “The ubiquitination-deubiquitination cycle on the ribosomal protein eS7A is crucial for efficient translation.” iScience 24 (3):102145, 2021
  • Watanabe, K., Takao, D., Ito, K. K., Takahashi, M., Kitagawa, D. “The Cep57-pericentrin module organizes PCM expansion and centriole engagement” Nature Commun. 10, 931, 2019 (doi : 10.1038/s41467-019-08862-2)
  • Masuo, K., Ohsumi, K., Iwabuchi, M., Kawamata, T., Ono, Y., Takahashi, M. “Kendrin is a novel substrate for separase involved in the licensing of centriole duplication” Curr. Biol. 22, 915 -821, 2012

学会発表

  • 八代田英樹、竹原由香、松尾芳隆、Xian Zhao、神垣あかね、松崎哲郎、小迫英尊、稲田利文、村田茂穂「効率的なタンパク質合成にはリボソームタンパク質eS7がユビキチン化と脱ユビキチン化されることが重要である」第95回日本生化学会大会、名古屋、2022年11月

お知らせ

2023/04
八代田英樹教授が当ユニットに着任しました。

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