ユニット紹介
医薬品機能教育研究部門
薬物治療学ユニット
ユニットの目標
薬物療法を効果的に実践するためには、疾患の病態を理論的に把握するほか、使用可能な薬剤を適切に判断することが重要です。
一方、近年医薬品の開発費の増大や開発成功率の減少などの理由で、新しい創薬戦略が求められています。迅速に創薬候補化合物を検索する技術(評価系構築)や、ドラッグ・リポジショニング(DR:薬剤適応拡大)の推進は、今後の新薬開発には欠かせないものとなってきます。
薬物治療学ユニットでは、アレルギー疾患などをターゲットに、薬物療法の評価系構築やDR候補のスクリーニング系の確立を目指しています。
研究テーマ
1)アレルギー疾患の病態解析及び疾患活動性の評価
- 食物アレルゲンの架橋活性に及ぼす環境中マイクロプラスチックの影響
- 難治性慢性副鼻腔炎におけるIgEの関与の検討
- 加熱・加圧処理による魚肉低アレルゲン化の検討
- スギ花粉舌下免疫療法の奏効メカニズム解明と奏効性予測法の確立 (pick up!)
近年、スギ花粉症の根治が期待できる治療法として、自宅で治療可能なアレルゲン舌下免疫療法 (SLIT) が注目されています。しかしながら、治療を2年以上毎日継続する必要があることや、症状の改善が見られない場合もあることが問題となっています。そこで本研究では、スギ花粉舌下免疫療法の治療早期における奏効性予測法の開発や奏効メカニズムを解明することを目的に、新しいアレルギー試験法EXiLE法を用いて解析を行っています。
2)新規アレルギー評価系の確立
- IgEの架橋活性を指標とする新規セルフリーアレルギー試験法の開発
- アレルゲン免疫療法の奏効性予測のための新規評価系の確立
発表論文
- 渡邊裕子、秋山晴代、大澤伸彦、井村香織、 伊関直美、 植田壽美子、政岡智佳、赤星千絵:大豆タンパク質の定量に及ぼす調理・加工の影響;食衛誌 62, 193-202, 2021.
- 栗坂知里、秋山晴代:スギ花粉舌下免疫療法における奏効性予測法;アレルギーの臨床 554, 55-57, 2021.
- Akiyama H, Kawamata K, Fukutomi Y, Matsufuji H, Kai S, Miyazawa M. Nakamura R. Novel in vitro test for pollen-related vegetable/fruit allergy using the EXiLE method. Allergol Int. 69, 459-461, 2020.
- Izaki S, Toyoshima S, Endo T, Kanegae K, Nunomura S, Kashiwakura JI, Sasaki-Sakamoto T, Nakamura R, Akiyama H, Ra C, Hayama K, Terui T, Okayama Y. Differentiation between control subjects and patients with chronic spontaneous urticaria based on the ability of anti-IgE autoantibodies (AAbs) to induce FcεRI crosslinking, as compared to anti-FcεRIα AAbs. Allergol Int. 68, 342-351, 2019.
- Kurisaka C, Oku T, Itoh S, Tsuji T. Role of sialic acid-containing glycans of matrix metalloproteinase-9 (MMP-9) in the interaction between MMP-9 and staphylococcal superantigen-like protein 5. Microbiology and immunology, 62, 168-175, 2018.
特許
- 中村亮介、秋山晴代、田所哲、熊坂健一「キメラFcεRIα鎖遺伝子、キメラFcεRIα鎖タンパク質、細胞、分析用キット、及び分析方法」、特願2021-031757(2021.03.01)、
PCT/JP2022/007612(2022.02.24)
お知らせ
- 2019/04
- 4月より栗坂 知里 助教が当ユニットに就任しました。
- 2018/09
- 2018年度配属の6年生が第62回日本薬学会関東支部大会にて優秀ポスター発表賞を受賞しました。