ユニット紹介
創薬基盤教育研究部門
医薬有機化学ユニット
ユニットの目標
医薬品の多くは依然として低分子有機化合物であり、生理活性物質の創出とその薬理作用の理解のためには有機化学を基盤とした知見が欠かせません。本ユニットは、有機合成化学と天然物化学の手法を用いて新たな生理活性物質を見出し、医療に貢献することを目標としています。
研究テーマ
1)炭素-炭素結合形成反応に関する研究
炭素-炭素結合形成反応の開発は有機合成化学の重要な課題のひとつです。私たちは、ニトロアルドール反応とナフトキノンの位置選択的なアリール化反応に焦点をあて、研究を行っています。現在までに興味深い結果が得られてきており、引き続き検討を重ねています。
2)生理活性物質の合成研究
天然の動植物等に含まれる生物活性物質は微量にしか得られないことが多く、作用機序の検討や構造活性相関研究のためには大量合成とそのための方法論の確立が欠かせません。私たちは、主に1の炭素-炭素結合形成反応を鍵工程として用いることにより、新しい生理活性物質の創製を目指して合成研究を行っています。
3)新規薬理活性化合物の探索研究
新しい医薬品の「タネ」となる新規薬理活性物質を創出することを目的として、新しいコンセプトに基づく薬理活性化合物の合成研究と活性評価を行っています。
4)新たなオーラルケア戦略のための基礎検討
より効果的なオーラルケアに適用可能な有機化合物を見出すことを目指すとともに、実際の治療に適応可能な薬剤や製品としての形態の試作を検討しています。
5)NKT細胞による新たな免疫療法の開発
がん免疫療法の新たなアプローチとしてNKT細胞による免疫療法に適用可能なNKT細胞活性化物質の探索と、効率的な投与法開発のための基礎的な検討を行っています。
発表論文
- Erika Iwasaki, Yoshimi Shimizu, Yusuke Akagi, Toshiya Komatsu ‘‘Synthesis and in Vitro Cytotoxicity Evaluation of Jadomycins’’ Chem. Pharm. Bull. 71, 730-733, 2023 (Selected as Featured Article)
- Yusuke Akagi, Yuta Mori, Yudai Sato, Erika Iwasaki, Toshiya Komatsu “Total synthesis of jadomycins A, B, and L-digitoxosyl-phenanthroviridin” Tetrahedron Lett. 101, 153919, 2022 (Selected as Editor’s Choice Collection)
- Yusuke Akagi, Kohei Harasawa, Toshiya Komatsu ‘‘Total Synthesis of Phenanthroviridin Aglycon and Its Analog’’ Asian J. Org. Chem. 10, 1094-1096, 2021
- Yusuke Akagi, Toshiya Komatsu ‘‘Palladium-catalyzed arylation of 1,4-naphthoquinones with aryl iodides and its synthetic application to the benzo[b]phenanthridine skeleton’’ Tetrahedron Lett. 61, 152446, 2020
- Yusuke Akagi, Shiori Fukuyama, Toshiya Komatsu ‘‘Palladium-catalyzed β-arylation of cyclic α, β-unsaturated O-methyl oximes with aryl iodides’’ Chem. Pharm. Bull. 68, 288-291, 2020
学会発表
- 清水皓基、岩﨑絵理佳、清水芳実、赤木祐介、小松俊哉:L-Digitoxosyl-phenanthroviridinの全合成と活性評価;第67回日本薬学会関東支部大会、東京、2023年9月
- 原 和基、森田景亮、細谷亮太、樫原芽依、赤木祐介、小松俊哉:Moverastin誘導体の合成研究(2);第67回日本薬学会関東支部大会、東京、2023年9月
- 清水皓基、森祐太、佐藤祐大、原澤浩平、岩﨑絵理佳、赤木祐介、小松俊哉:L-Digitoxosyl-phenanthroviridinの全合成;日本薬学会第143年会、札幌、2023年3月 (学生優秀発表賞受賞)
- 森田景亮、原 和基、細谷亮太、樫原芽依、赤木祐介、小松俊哉:Moverastin誘導体の合成研究;日本薬学会第143年会、札幌、2023年3月
- 岩﨑絵理佳、中沢二葉、福原史弘、門脇里緒、赤木祐介、小松俊哉:二方向型ニトロアルドール反応の研究(5);日本薬学会第143年会、札幌、2023年3月
- 岩﨑絵理佳、清水芳実、原澤浩平、赤木祐介、小松俊哉:フェナントロビリジン関連化合物の合成と活性評価;第66回日本薬学会関東支部大会、横浜、2022年9月
特許
- 特許第7212229号 光線力学療法に用いるための殺菌剤(2023年1月17日)