ユニット紹介

創薬基盤教育研究部門
天然医薬資源学ユニット

ユニットの目標

古来より人類は自然より多くのことを学びその恵の一部を薬として利用してきました。現在でも植物は生薬・漢方薬として利用されており、これまでに知られていない多くの効能が明らかになっています。本ユニットは、古典を紐解き、新たな手法で既存の漢方薬を評価し、付加価値を見出すことにより現代医療に貢献することを目標としています。

研究テーマ

1)抗老化を目指した漢方薬の評価

老化モデルの線虫(Caenorhabditis elegans)を用いて、漢方薬の寿命延長効果を調べています。線虫の寿命は約20日間で、ゲノムはヒトと共通している部分が多いのも特徴です。このように線虫は最も下等な多細胞生物ですが、消化管、筋肉、神経系といった動物としての最低限の構造を持つ最適な老化モデルなのです(高松)。

研究テーマイメージ

2)天然由来の抗酸化物質の探索

植物や微生物由来の抗酸化活性物質をin vitroおよびin vivoの評価系で探索し、新規医薬品シーズの探索を行っています(高松)。

3)近世漢方資料の解析による伝統医学に関する研究

近世のなかでも江戸時代は我が国の文化が飛躍的な発展を遂げています。医薬学でも同じことが言えて、今日の漢方医学は江戸時代の医学に強い影響を受けています。これらの時期の薬物理論の展開を明らかにし、当時の処方集や治療記録から実際の使用例を見出し、漢方処方の本質的な運用法を検討します(鈴木)。

研究テーマイメージ
『刪補古今方彙』
江戸時代に最も利用された処方集のうちの1つ。

発表論文

  • 高松 智、牛込 陽菜、竹田 将太郎、佐藤 美紗、野坂 倫代 「健康寿命の延伸を目指した生薬及び漢方薬の評価」 アグリバイオ、第7巻 2月号、p.81-87 (2023)
  • 高松 智、石野 敬子、川添 和義 「糸状菌由来の抗酸化物質と線虫の寿命延長効果」 月刊細胞(臨時増刊号)、第54巻 12月号、p.36-40 (2022)
  • Yuka Koike, Satoshi Takamatsu, Shin-ichiro Kurimoto, and Kazuyoshi Kawazoe “Antithrombin effect of jidabokuippo and identification of active compounds” Natural Product Communications 17 (1), 1-5 (2022)
  • 牧野利明、石井智子、飛奈良治、鈴木達彦、並木隆雄、「医療用漢方製剤に配合される生薬の効能の標準化案 -漢方医学書籍編纂委員会・生薬効能標準化ワーキンググループ報告-」 日本東洋医学雑誌、73(2)、p.146-175 (2022)
  • 根津雅彦、鈴木達彦、平崎能郎、並木隆雄 「インフルエンザなどの急性ウイルス性呼吸器感染症パンデミック/エピデミックに対する和漢治療の歴史 : 麻黄の品質とその治療効果への影響」 日本東洋医学雑誌 72 (4)、p.420-451 (2021)
  • 高松 智、小池 佑果、川添 和義 「抗老化を目指した漢方薬の評価」 アグリバイオ 第5巻 8月号、p.98-104 (2021)
  • Hiroaki Nishijima, Satoshi Takamatsu, Kazue Satoh, Remi Murase, Iori Taki, Daisuke Kamei, Kazuyoshi Kawazoe, Yukio Nemoto, and Shinichi Iwai “Effect of intraoral antioxidative capacity in orengedokuto” Traditional and Kampo Medicine 7 (1), 30-37 (2020)

学会発表

  • 鈴木達彦、平地治美、平崎能郎、並木隆雄:金瘡書としての『砦草』の性質について;第73回日本東洋医学会学術総会、福岡、2023年6月
  • 根津雅彦、鈴木達彦、平崎能郎、並木隆雄:『傷寒論』の「傷寒」は複数の疾患の合成臨床像である可能性がある:最近の知見を利用しての解析;第73回日本東洋医学会学術総会、福岡、2023年6月
  • 菊地理恵、鈴木達彦、根津雅彦、平崎能郎、並木隆雄:吉益南涯『気血水薬徴』の形成過程における「気血水理論」の展開;第73回日本東洋医学会学術総会、福岡、2023年6月
  • 楊潔如、梶由佳、渡邊悠紀、龍 興一、八木明男、大橋範之、森田智、根津雅彦、島田博文、平崎能郎、橋場則昭、鈴木達彦、並木隆雄:江戸時代と昭和期以降の文献における腹診所見についての比較検討—柴胡剤の動悸と圧痛の所見を中心として—;第73回日本東洋医学会学術総会、福岡、2023年6月
  • 鈴木達彦、平崎能郎、並木隆雄:曲直瀬道三『切紙』の原型と内藤記念くすり博物館所蔵『家傳記』について;第124回日本医史学会学術大会、東京、2023年6月
  • 高松 智、牛込陽菜、竹田将太郎、佐藤美紗、野坂倫代、大野賢一、山元健太、伊東育己、渡邉丈夫、濃沼政美:抗老化を目指したGHK-Cuの評価;日本薬学会第143年会、札幌、2023年3月
  • 大野賢一、中村桜子、渡辺大貴、小境里奈、山元健太、高松 智、濃沼政美:全身作用型GHK-Cu製剤開発に向けたパイロットスタディー(2)生体試料分析;日本薬学会第143年会、札幌、2023年3月
  • 鈴木達彦:江戸期の重要処方集『衆方規矩』と『古今方彙』;第42回漢方学術大会特別講演、東京、2022年11月
  • Tatsuhiko Suzuki:Medicine of Dosan MANASE - The Founder of Gosei School;1st International Symposium on Kampo Medicine (online), August 26-27, 2022
  • Yuka Koike, Satoshi Takamatsu, Shin-ichiro Kurimoto and Kazuyoshi Kawazoe:Antithrombin activity of Jidabokuippo and identification of active compounds;2022 Annual Meeting of the American Society of Pharmacognosy (Charleston, SC), July 23-28, 2022

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