ユニット紹介
社会薬学教育研究センター
薬局機能評価学ユニット
ユニットの目標
薬局は、薬というモノを中心に生活をする人々の生活を支援しています。しかし、生活する人々に対して一方通行的な物品の販売業務だけでは、人々の生活を支援しているとはいえません。医療システム、広くは社会システムの中で、薬局はどのような役割を担い、どのように機能することが求められているのか、今後薬剤師はどのような役割を担うことが求められているのか。近未来の薬局像、薬剤師像について広い視野から検討していきます。
研究テーマ
当ユニットでは、社会と薬学を結ぶ社会薬学という学問をベースに研究を行っています。
菊地真実教授
- 在宅医療に関わる薬局薬剤師の役割と実践に関する研究
首都圏で在宅医療に関わる薬局薬剤師を対象に、その役割と実践についてインタビューを重ね、質的に分析し研究を行っています。
2021年に学生が取り組んだ卒業研究テーマは以下のようになっています。
- 終末期の患者への薬剤師のかかわりに関する研究
- 地域で生活する精神疾患をもつ患者に関わる薬局薬剤師の服薬支援に関する研究
- 独居高齢者への服薬支援における現在の課題と今後の展望についての考察-AIやICTの活用への期待-
- かかりつけ薬剤師となる経緯についての研究-患者と薬剤師との観点の違いから-
小原道子教授
- 高齢者の服薬支援に向けた口腔環境の探索と有用性に関する研究
高齢者の口腔環境は、加齢とともにオーラルフレイルや薬剤の影響等の因子も関与しながら低下していきます。また疾病によっては口腔ケアに対する認識の不足や、嚥下機能の低下など、高齢者の口腔環境の変化による服薬環境の低下は危険因子を含んでいます。今後地域医療で高齢者を支える環境を整備するため、身近な健康支援の製品を用いた口腔ケアの方法を探索しています。
- かかりつけ薬局・薬剤師が行う地域医療の役割に関する研究
かかりつけ薬局・薬剤師が地域医療における役割と実践方法、今後の在り方について調査研究を行っています。
- 医療過疎地で行うモバイルファーマシーを使用した医薬分業の効果に関する研究
モバイルファーマシー(以下:MP)を用いて医療過疎地の診療所で、医薬分業のメリットを生かした調剤業務の効果検証を行います。
吉田貴行助教
- 居住系介護施設の入居者への至適薬物治療実現に関する研究
居住系介護施設では多くの誤薬事故の報告がされています。また、施設の薬の管理に薬剤師が全く関与していないケースも存在しています。そこで、施設で入居者に適切な薬物治療が行えるようにするには、薬剤師はどのような役割を担う必要があるのかを検討しています。薬剤師の施設への関わりを検討し実践する事で、入居者へ適切な薬物治療が行える環境構築の実現を目指しています。
原田美那助手
- 薬育を推進するための環境に関する研究
薬育とは医薬品の適正使用や薬物乱用防止を含めた健康な身体をつくるための教育です。本学では2018年度より、地域の小中学校にて薬学生が薬育を実施してきました。現在は中学校でもくすり教育が学習指導要領に含まれています。一方で、全ての学校で薬剤師がこの教育に関わっているわけではありません。そこで、薬育をより推進するための方法を検討し、学生と共に実践していきます。
発表論文
- 吉田貴行, 佐藤勝巳, 小松﨑康:居住系介護施設における誤薬事故の減少及び至適薬物治療の実現に向けた薬剤師の取り組み;日本薬剤師会雑誌 74(3), 17-22, 2022
- 吉田貴行, 松尾泰佑, 原田努, 富田隆:製剤情報に基づいた日本薬局方崩壊試験法と口腔内崩壊錠試験器による崩壊時間の比較~ドネペジル口腔内崩壊錠を対象とした検討~;薬局薬学 2022
- Suzuki K, Yoshiki M, Nishikawa N, Harada T, Fujita Y, Terui Y, Yoshida T, Tomita T. “Visualizing fluid transport inside orally disintegrating tablets and changes in tablets using real-time X-ray radiography and X-ray computed tomography” Drug Dev. Ind. Pharm. 48(7), 301-309, 2022
- 小原道子:高齢者の服薬支援に向けた口腔環境の探索と有用性に関する研究 2020年度博士論文(岐阜薬科大学) 2020年3月
- Obara M, Hayashi H, Namaki N, Furushima D, Kato R, Matsukawa T, Suzuki D, Yamada H, Sugiyama T. “Effects of Food Containing Aroma Compounds on Oral Hygiene” THERAPEUTIC RESEARCH 41(2), 125-131, 2020
- 上田祐稀乃, 鈴木学, 海野茜, 甲斐絢子, 小原道子, 林秀樹, 棚瀬友啓, 日比野靖, 杉山正:医療機関を定期受診している来局者と定期受診していない来局者の保険薬局における健康相談の比較; 日本地域薬局薬学会誌 8(1), 42-49, 2020
- 菊地真実:在宅医療に関わる薬局薬剤師の役割と実践に関する研究 2018年度博士論文(早稲田大学 甲第7944号) 2018年7月
- 菊地真実,辻内琢也:在宅医療にかかわる薬剤師の患者に対する直接接触行為に関する研究-必要性の認識と行為頻度-;社会薬学 35(1), 10-22, 2016
著書
- 小原道子:「地域包括ケア タネの撒き方・育て方」(評言社) 2021年3月
- 堂垂伸治,吉田貴行,工藤和代ほか:「必読!地域ケアの実践 松戸市常盤平地区事例集 この教訓を全国に」(松戸市常盤平地区高齢者支援連絡会専門部会) p40-43, 2017年5月
お知らせ
- 2022/10
- 吉田貴行助教が「千葉県薬剤師会長賞」を受賞しました。
- 2022/09
- 中野区主催のRUN伴(ランとも)に薬学研究部地域連携サークルの学生が参加しました。
- 2022/09
- 帝京小学校にて、薬学研究部地域連携サークルが薬育の授業を行いました。
- 2022/08
- 中野区アロハデイサービスに薬学研究部地域連携サークルが、高齢者に向けた薬育を行いました。
- 2022/04
- 中野区青年会議所が主催する中野クリエイティブ祭にて、地域連携サークルの学生がパネル展示を行いました。