ユニット紹介
薬学教育研究センター
薬学基礎教育ユニット
ユニットの目標
薬学基礎教育ユニットは、薬学を学ぶ初学者に対し、必要とする基礎領域(化学系、物理系、生物系の各科目)の知識の修得と補完を、学習方法も含めてサポートし、充実した学習活動の土台作りを手助けすることを目標としています。
研究テーマ
「Aβ凝集阻害およびAβ線維溶解作用を有する多価フェノール誘導体の合成」(鈴木)
Aβの凝集体認識構造に水溶性部位を結合した化合物がAβの凝集阻害作用持つことを見いだし、種々の新規化合物の合成と活性評価を行っています。現在までの検討でベンゾフランBF-133、その小分子化体BF-174、さらにベンズオキサゾールBI-326の活性は、レスベラトロール1)やモリン2)に比べても活性が非常に強いことがわかり、さらにこれらはAβ凝集繊維の分解作用を有することも示唆されています。現在さらなる構造最適化とより詳細なアッセイを検討中です。
- 1) Jia Y, Wang N and Liu X. 2017, Nutrients 9, E1122.
- 2) Sato, M., Murakami, K., Uno, M., Nakagawa, Y., Katayama, S., Akagi, K., Masuda, Y., Takegoshi, K., Irie, K. J. Biol. Chem. 2013, 288,23212-23224.
「プリン代謝、痛風、高尿酸血症に関する研究」(金子)
痛風・高尿酸血症は生活習慣病として知られています。その原因のひとつにプリン体の多いものの摂り過ぎがあり、高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインでも食事療法の項目として取り上げられています。痛風・高尿酸血症の患者さんの食事療法に役立てるため、食品中にどの位の量のプリン体が含まれていて、どのような調理法ならプリン体を減らせるか、を実際に測定して調べています。まだプリン体が測定されていない食品や新しく出てきた食品など、患者さんが食べる機会の多い食品を選んで測定し、そのプリン体値を公開して、実際の管理栄養士による食事指導に貢献しています。また、痛風・高尿酸血症の患者さんでは尿路結石の合併が多いことから、尿路結石についての研究も行っています。
「ユビキチン・プロテアソームシステムの研究」(八代田)
「プロテアソーム活性亢進モデルマウスの開発と加齢への影響の解析」(加藤)
プロテアソームは我々の身体の中で不要になったタンパク質を分解することで、細胞の状態を健康に保つ役割を担っています。本研究では、加齢に伴って低下するプロテアソームの働きを高めることで、より健康に長生きできるか検証するとともに、プロテアソームと老化の関係を明らかにすることを目指しています。
発表論文
- Iriki, T., Iio, H., Yasuda, S., Masuta, S., Kato, M., Kosako, H., Hirayama, S., Endo, A., Ohtake, F., Kamiya, M., Urano, Y., Saeki, Y., Hamazaki, J., Murata, S. “Senescent cells form nuclear foci that contain the 26S proteasome.” Cell Rep doi: 10.1016/j.celrep.2023.112880, 2023
- Kaneko, K., Yasuda, M., Fukuuchi, Y., Yamaoka, N., Takahashi, K., Mawatari, K., Isotani, S., Horie, S., Nakagawa, T. “Plasma levels and urinary excretion of protein Z in patients with urolithiasis.” Int J Urol doi.org/10.1111/iju.15277, 2023
- Jahan, N., Ohsaki, H., Kaneko, K., Rahman, A., Nishiyama, T., Koizumi, T., Yamanaka, S., Kitada, K., Sugiura, Y., Matsui, K., Yokoo, T., Hamano, T., Kuro-O, M., Itou, T., Suzuki, M., Ueda, K., Nishiyama, A. “Possible contribution of phosphate to the pathogenesis of chronic kidney disease in dolphins.” Sci Rep 13, 5161, 2023
- Fukuuchi, T., Itahashi, I., Takayanagi, F., Yamaoka, N., Kaneko, K. “Determination of total purine and free purine content in milk, soymilk, and enteral nutritional supplements to assist nutritional therapy for hyperuricemia and gout.” Nucleosides Nucleotides & Nucleic Acids. doi.org/10.1080/15257770, 2022
- Watanabe, A., Yashiroda, H., Ishihara, S., Megan, L., Murata, S. “The molecular mechanisms governing the assembly of the immuno- and thymoproteasomes in the presence of constitutive proteasomes.” Cells 11(9):1580, 2022
- Watanabe, T., Ishikawa, M., Abe, K., Ishikawa, T., Imakiire, S., Masaki, K., Hosokawa, K., Fukuuchi, T., Kaneko, K., Ohtsubo, T., Hirano, M., Hirano, K., Tsutsui, H. “Increased Lung Uric Acid Deteriorates Pulmonary Arterial Hypertension.” J Am Heart Assoc. 10, e022712. doi: 10.1161/JAHA.121.022712, 2021
- Takehara, Y., Yashiroda, H., Matsuo, Y., Zhao, X., Kamigaki, A., Matsuzaki, T., Kosako, H., Inada, T., Murata, S. “The ubiquitination-deubiquitination cycle on the ribosomal protein eS7A is crucial for efficient translation.” iScience 24 (3):102145, 2021
著書
- 金子希代子:食品のプリン体 pp 76-77 in「八訂 食品成分表2022資料編」香川明夫監修、女子栄養大学出版部、2022年2月
- 金子希代子:第2章 治療:12生活指導 pp56-59 in 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版 2022年追補版、診断と治療社、2022年3月
特許
- 鈴木英治、石神昭人、横山祐作「アミロイドβタンパク質凝集阻害作用を有する化合物又はその薬 理学的に許容し得る塩及びその製造方法、並びに、その用途」特開2012-184224
- 奥野洋明、鈴木英治、石神昭人「アミロイドベータ凝集阻害作用を有するフェノール誘導体」特開2008-231102
学会発表
- 金子 希代子、西山 成、植田 啓一、鈴木 美和、安田 誠、福内 友子、山岡 法子「高齢イルカ由来の腎結石・腎組織の微細分析とヒト尿路結石の比較」日本尿路結石症学会 第33回学術集会、久留米、2023年8月
- 畑 春実、髙木 彰子、原田 美那、岩﨑 絵理佳、加藤 雅和、戸田 雄大、平 郁子、鈴木 英治、金子 希代子、亀井 美和子「帝京平成大学薬学部における学習相談室の取り組み」第8回日本薬学教育学会大会、熊本、2023年8月
- Kiyoko Kaneko, Tomoko Fukuuchi, Noriko Yamaoko. “Properties of uric acid and overview of the Guideline for the management of hyperuricemia and gout including dietary therapy” (尿酸の性質と高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインについて) 第87回日本循環器学会学術集会 会長企画シンポジウム『循環器疾患における尿酸の意義 Up to date:独立したリスク因子か、単なるマーカーか?』 2023年3月
- 髙栁 ふくえ、福内 友子、山岡 法子、金子 希代子「尿pHを考慮した高尿酸血症・痛風患者の食事療法について」第56回日本痛風・尿酸核酸学会総会 多職種連携シンポジウム『多職種でサポートする痛風・高尿酸血症の治療』、東京、2023年2月
- 加藤雅和、濱崎純、村田茂穂「DDI2過剰発現によるプロテアソーム活性亢進マウスにおけるタンパク質恒常性への影響の解析」第45回日本分子生物学会年会、千葉、2022年12月
お知らせ
- 2023/04
- 加藤雅和助教と八代田英樹教授(分子細胞制御ユニット兼任)が当ユニットに着任しました。