ユニット紹介

創薬基盤教育研究部門
物理薬剤学ユニット

ユニットの目標

医薬品は製薬企業で大量に生産されるものから病院や薬局などの医療施設で小規模に作られるものまで数多くあり、錠剤、散剤、カプセル剤などの固形製剤、軟膏、ゼリー剤、坐剤などの半固形剤、注射剤をはじめとする各種液剤など多くの剤形があります。これらの医薬品は有効成分である主薬と医薬品添加物からなり、その剤形は投与及び吸収部位や成分各々の物理的性質などを考慮して、効率の良い有効性、高い安全性を確保するように、適した製造法を用いて作られています。しかし、医薬品の有効性は含まれる成分の物理化学的性質、各々の存在状態及び三次元的位置関係と深い関係を持つことから、同一成分であっても製造する企業、医療施設における製剤技術、製造条件の違いにより若干の違いが生じます。また、作られる過程だけではなく、作られた後にも医薬品は保存環境に応じて非常に緩やかに変化することも知られています。

以上のことから、当ユニットでは次を目標として研究を行っています。

  • 医療現場での医薬品の取り扱いの基本となる知見を得るために、医薬品を構成する各成分の存在状態と三次元的位置関係を、医薬品のもつ物理化学的性質を測定、評価して有効性との関係を明確にする。
  • 医薬品の有効性、安全性などをさらに向上させるために、医薬品添加物の種類と組成、調製法が医薬品の品質、効果とどのような関係にあるのかを物理化学的により明確にする。

研究テーマ

1)散剤分包機の機構と分包操作の分包品品質への影響に関する研究

散剤は、患者の体重、年齢、症状などに応じて細かく調節が可能な簡便さから、よく使用される経口製剤の一つです。散剤を調製する際、主薬の量が少なく賦形が必要な場合や、二種以上の散剤を混合する場合があり、複数の医薬品を混合して分包するときには、一つ一つの薬包に均等に薬物が含有されることが理想です。医療の現場である病院・薬局ではそれぞれの環境にあわせて調剤方法が若干異なり、また作業する薬剤師各々の手技もわずかに異なっています。これらは品質に影響することが予想され、分包品の品質を保証する必要があります。

2)調剤現場で発生する問題点の薬剤学的検証

主に外用剤を対象に医薬品を規定外の方法で保管した場合や医薬品同士を混合した場合の製剤学的変化、さらにこれらの変化における先発品と後発品間の相違の有無等について理化学的に検証しています。これらの知見は薬剤師の業務である製剤選択、調剤方法の検証さらに服薬指導等において役立てることのできる重要な科学的根拠になると思われます。以下に主な研究テーマについて列挙します。

  • クロベタゾン酪酸エステル軟膏製剤先発品と後発品との製剤特性の比較
  • 加熱融解後再固化させたアセトアミノフェン坐剤における主成分均一性についての検証
  • 近赤外分光法を用いた皮膚外用製剤混合物における安定性の検証
  • クロベタゾールプロピオン酸エステルクリーム剤先発品と後発品における製剤特性の比較

3)ペプチドミルクにおける乳化技術に関する研究

界面活性剤は、乳化、分散、可溶化などの作用を生かし、医薬品、化粧品や食品など様々な分野で幅広く利用されています。医薬品においては医薬品添加物として、外用剤、経口剤や注射剤などに用いられています。医薬品、食品などに用いられる界面活性剤には、高い安全性と安定性が求められ、より少ない添加量であることが理想です。本研究では、牛乳アレルギーの低アレルゲン化食品であるペプチドミルクに着目して、より少量の界面活性剤で微細な乳化物を作製する界面活性剤の組合せ及び乳化方法の研究、開発を進めています。

発表論文

  • Hisada, H., Okayama, A., Hoshino, T., Carriere, J., Koide, T., Yamamoto, Y., Fukami, T. “Determining the distribution of active pharmaceutical ingredients in combination tablets using near IR and low-frequency Raman spectroscopy imaging" Chem. Pharm. Bull. 68, 155-160, 2020
  • Yamamoto, Y., Onuki, Y., Fukami, T., Koide, T., “Comparison of various pharmaceutical properties of clobetasol propionate cream formulations - considering stability of mixture with moisturizer-” J. Pharm. Health Care Sci. 6: 1, DOI: https://doi.org/10.1186/s40780-020-0158-y., 2020
  • Yamamoto, Y., Yamauchi, R., Ohno, S., Asai, K., Fukami, T., Koide, T. “Evaluation of the water content and skin permeability of active pharmaceutical ingredients in ketoprofen poultice formulations removed from their airtight containers and left at room temperature” Biol. Pharm. Bull. 42, 2102-2108, 2019
  • Fujii-Yoshimura, M., Yamamoto, Y., Koide, T., Hamaguchi, M., Onuki, Y., Suzuki, N., Suzuki, T., Fukami T. “Imaging analysis enables differentiation of the distribution of pharmaceutical ingredients in tacrolimus ointments” Appl. Spectrosc. 73, 1183-1192, 2019
  • Yamamoto, Y., Fujii, M., Fukami, T., Koide, T. “Evaluation of the three-dimensional distribution of droplets in a droplet dispersion-type ointment using confocal Raman microscopy” J. Drug Deliv. Sci. Technol. 51, 639-642, 2019
  • Hoshino, T., Azuma, M., Yamada, Y, Titapiwatanakun,V., Fujii-Yoshimura, M., Yamamoto, Y., Koide, T., Fukami, T. “Measurement of the water content in semi-solid formulations used to treat pressure ulcers and evaluation of their water absorption characteristics” Chem. Pharm. Bull. 67, 929-934, 2019

記事

  • 山本 佳久 : 各種薬剤の調製・取り扱いに関するトピックス─外用剤─ ; 薬局, 71 (2), 49-56, 2020
  • 山本 佳久 : 分光学的手法を用いた皮膚外用製剤の評価(Ⅱ)─ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏の製剤特性およびヘパリン類似物質油性クリームとの混合物安定性評価─ ; 製剤機械技術学会誌, 28(2), 22-28, 2019

お知らせ

2018/09
第62回日本薬学会関東支部大会(2018年9月15日、帝京平成大学中野キャンパス)において、当ユニットに所属する早川由香さん(6年)の演題「ベタメタゾン吉草酸エステルクリーム剤の製剤特性に関する研究」がポスター優秀発表賞を受賞しました。
2017/10
第50回日本薬剤師会学術大会(2017年10月8-9日、東京国際フォーラム)において、山本佳久 准教授が共著者である演題がポスター優秀発表賞を受賞しました。
演題名:乳幼児に与える散剤のペースト化に必要な水分量の最適化と後発医薬品への適用に関する研究

こちらもチェック

  • 入試情報
  • キャンパスライフ
  • 進路・就職

ページトップへ