薬学部ホームページを制作するにあたって、薬学に関係する皆さまに向けた連載コラムをお届けすることにいたしました。今後、本学教員が定期的に連載をしてまいります。
2017年10月掲載
たった一つの自分のキャリアを作り上げよう!
薬学部教授
井手口 直子
薬学部を目指すあなたにとって薬剤師はどのようなイメージですか?この20数年で薬剤師の職能は大きく広がり、超高齢者社会での役割りは重要になってきています。
だからこそ、ご自分のキャリアをどうデザインしてマネジメントしていくか考えてみましょう。Douglas T. Hallが示したキャリアの概念で本人の主観的なものに関わるのは、以下の2つです。
1)職種や階層にかかわりなく、人が仕事生活の行程(course his work life)の間に着任することになる職位の連続(lifelong sequence of jobs)
2)フォーマルな職位だけではなく、自己イメージやアイディンティティなど内面なものに影響する諸経験の流れ(lifelong sequence of role-related experiences)
大切なのは、「キャリアそのものに良い悪い、成功や失敗、アップもダウンもない。もしあるとしたら、外部の観点ではなく、本人によって評価される。自分らしく生きられているか、またはハッピーか」ということ。つまり「キャリアはプロセス」で、長期にわたって追求され、生じる諸経験の連続なのです。
薬剤師は専門職であり、国家資格です。今は就職率も非常に高く、そして離職率も高い。しかし就職や転職で「薬剤師免許さえあれば安泰」という思考で、勤務形態や年収などの条件だけで選んでいくと、結局は自分がどこへ向かっているか解らなくなってしまいます。
誰もが人生で悩み考え、立ち止まる時がある。その時がキャリアをデザインすべきいわば節目と言えましょう。しっかり考え決断して踏み出したら、流れにのることも必要です。
国連の推計では2050年までに、日本の100歳以上人口は100万人を突破する見込みです。ある調査では、2007年に生まれた日本人の半分が107歳まで生きると推測しています。いよいよ人生100歳時代の到来です。かつてのような学生―就労―引退という直線的なキャリアのモデルは古ぼけて、新しい生き方を選択する人が増えています。薬剤師も深く幅広い知識とアイディンティティを持ち続けながら職域を広げて一人ひとりが自分のオリジナルなキャリアをデザインすることが可能になったとも言えましょう。
そのスタートは大学時代。6年間は長いようで短いです。さまざまな経験と見聞を広げ、沢山のクエスチョンを持ちましょう。小さく固まらないで柔軟な思考を身に付けましょう。様々な人と話し、批判するのではなく、美点凝視をしてください。「前向きな好奇心とフットワーク!」そんな皆さんとお会いするのがとっても楽しみです。