連載コラム

薬学部ホームページを制作するにあたって、薬学に関係する皆さまに向けた連載コラムをお届けすることにいたしました。今後、本学教員が定期的に連載をしてまいります。

2021年8月掲載

天然に負けるな

赤木祐介

薬学部講師
赤木 祐介

このコラムの依頼を受けたとき、思わず「なぜ私がコラムを・・・」と思ってしまいました。何を書いていいか分からず、これまでのコラムも見てみましたが、益々何を書いていいか分からなくなりました。私が書けるとすれば、研究に関連することぐらいしかありませんので、最近よく思い出す学生時代の指導教官の言葉とその当時の研究室での日常について書こうと思います。

指導教官の言葉

私は、動物や細胞を扱わなくてすむかなという不純な動機で有機系の研究室を選びました。もちろん有機化学は嫌いではありませんでしたが。研究テーマとして、天然有機化合物の合成研究を与えられました。反抗的で可愛げのない学生でしたが、指導教官は気に掛けてくれていたような気がします。今でもよく思い出す指導教官に言われた印象的な言葉が3つあります。「天然に負けるな」、「浪漫がない」、「簡単にいったら面白くない」。その当時は、天然(酵素など)なんかに勝てるわけない、反応に浪漫はいらない、簡単にスムーズにいくのがいいに決まっている、そう思っていました。学生時代に比べて実験時間も限られる現在、不思議なことに、多少の浪漫は必要かなと反応に浪漫を求めるようになっています。人生で1度でいいから、当時の指導教官にも胸を張って言えるような、天然に勝るとも劣らない浪漫にあふれた美しい天然有機化合物の全合成を達成したいものです。

研究室の日常

研究室にずっといました。今では体力的に厳しいですが、深夜まで実験していました。徹夜もしました。終夜測定のサンプルが気になりすぎて深夜大学に戻ることもしばしばありました。研究室の先輩、同期、後輩と本当に一日中一緒でした。研究のことはもちろん色んなことを相談しました。研究(反応)は基本的にうまくいきません。どんな反応でもうまくいくのは奇跡だと思えます。うまくいかない日々の支えは、やはり研究室のメンバーでした。彼らがいなければ今の私はないと思います。頑なで扱いにくい私を受け入れ支えてくれた彼らには感謝しかありません。深夜、研究室のメンバーとエバポレーターの水浴でレトルトカレーを温めて食べたのが今でも忘れられません。今思えば衛生的にどうかと思いますが、最高に美味しかったです。最近は研究室のメンバーと会うこともほとんどなくなりましたが、たまに連絡がくるとその当時のことを思い出すとともに、立派になった彼らに少しでも近づけるように頑張らねばと思います。

終わりに

纏まりのないコラムに最後までお付き合いいただきありがとうございました。私のような人間が言うのもなんですが、夢中になれるものを見つけてください。そして出会った仲間は是非大切にしてください。

 

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