薬学部ホームページを制作するにあたって、薬学に関係する皆さまに向けた連載コラムをお届けすることにいたしました。今後、本学教員が定期的に連載をしてまいります。
2021年9月掲載
次世代の薬剤師と6年制薬学部教育:iPS細胞、AIも?
薬学部教授
水間 俊
連載コラムの執筆を依頼された。テーマは自由ということですが、いろいろと考えたものの6年制薬学部の教員としては、やはり薬剤師、薬学教育に関する話題を中心にして述べたいと思います。
先ずは、新型コロナウイルス。この感染症に端を発して、医薬品の承認審査からワクチン接種の注射方法(皮下注射と筋肉注射)まで一般の方々も注目し、薬学生に限らず医薬品に関連する多くのことを学んでおられるのではないかと思われます。そして、そのワクチン接種をめぐり、今後の業務内容に関係するような薬剤師による注射の案も上がっています。米国ではこのワクチン注射投与を薬剤師も行なっていることなどがニュースなどで紹介され、医療における薬剤師業務についてあらためて考えるきっかけになっているように思われます。
大学生時代を思い出してみると、当時(半世紀前、は少々大袈裟ですが)、先輩から初めて耳にした医薬分業という言葉。その後長い間、この医薬分業が進展しなかったものの、今や院外処方箋が主となるまでに至り、さらに病院では薬剤師が病棟で業務を行なっていることは皆さんご存知の通りです。そして、薬剤師の求人が絶えない状況が現在のところ続いており、薬剤師の業務内容が広がっていることを示しています。このように、時の経過とともに、社会状況が変わり、制度が変わっていく可能性を実感します。
そのような中、薬剤師、医薬品、薬学教育、それらの土台となる薬学の世界に目を向けてみると、この薬学の世界にも大きな影響を与えるiPS細胞(induced pluripotent stem cells)とAI (artificial intelligence)は目が離せません。治療薬はその分子構造が低分子から高分子へと、そして治療方法はさらに細胞、組織へと広がっていき、その中でiPS細胞の可能性や役割が深く関わり、その研究は医療における大きな鍵を握っています。そして、AIは、我々の生活の中に関わりその役割が増えていくとともに、医療においてもそのインパクトは計りしれません。そのようなことを考えていると、今後、社会が必要とする次世代の薬剤師を輩出する大学における薬学教育内容は?といったことを意識せざるを得ません。
我が国では、多くの薬学部は4年制から6年制となり、コアカリキュラム、CBT、OSCEに代表されるような、より薬剤師養成に向き合った教育内容へと変化しており、さらに第2回目のコアカリキュラム改訂が動き出しています。今後、薬剤師が活動する領域がさらに広がっていき、6年制薬学部である本学の卒業生が薬剤師として社会で活躍できることを願いつつ、当HPで以前に述べさせて頂いたフレーズを再度ご紹介して筆を置きたい。
「中野と言えば中野サンプラザ」、加えて「中野と言えば帝京平成大学薬学部」を期待して。